Tuesday 23 December 2008

梅田ism

梅田望夫、『ウェブ時代をゆく』

Kalafはこの著者と波長があう。これは一年ほど前に同じ著者の『ウェブ進化論』を読んだ際にも感じたことだ。"ネットの「あちら側」と「こちら側」"という発想や"グーグルの本質"はKalafにとって極めて刺激的で、この『ウェブ進化論』を読んでブログを書こうと思ったくらいだ。

さて、『ウェブ時代をゆく』。筆者が繰り返し述べる「オプティミズム(楽観主義)」と「志」がしっくりと響く。全体を通して極めてlogicalでかつpracticalである。第四章「ロールモデル思考法」は特に新鮮で参考になった。

こういう世界があるということを知るためだけでも、一読を強くすすめる。新しいパラダイム。(書評はアマゾンに十分過ぎるほど載っている。)

あわせて読んだ『ウィキノミクス』と似た系譜。すごい人は無数にいる。世界は広い。そして自分は何も知らない。

WIKINOMICS

ドン・タプスコット / アンソニー・D・ウィリアムズ、『ウィキノミクス』 (2007年6月)

Web2.0、マスコラボレーション・・・。この本の主旨は以下の抜粋やアマゾンの書評から想像できると思う。よく知られている例はLinuxやWikipedia、Facebook。本書ではこれら以外にもアマゾンやイーベイ、レゴやP&G等、事例が豊富。

こういう発想は好き。仕組みや組織を考える際の参考になる。実際の応用もそうだが、「マインド」としてより価値のあるものだと感じる。「専門性」が基礎にあることが前提になっていることを認識。

- "組織というものは、昔から、階層型の指揮命令系統だった。(略)従来の階層構造と支配による生産モデルに代わる新しいパワフルなモデル、コミュニティとコラボレーション(協働)、自発的秩序形成によるモデルが生まれつつある"(p.5)
- "新しいウェブとは動詞で表すもので、名詞じゃ表せない"(p.75)
- "我々一人ひとりが権限をもてば、さまざまな分野の人間が集まったチームという形でコラボレーションを行い、いままでよりも良い結果がだせるのではないか"(p.87)
- "従来の企業よりも自発的参加によるピアリングのほうが適材適所を実現しやすい"(p.110)
- "もちろん、社内に人材は必要である。しかし今後は、最高の人材は社外にいると考えなければならないことが増える"(p.162)
- "pro-sumer"、"pro-sumption"
- "ウィキノミクスの四大原則-オープン性、ピアリング、共有、グローバル"(p341)
- "ピアプロダクションにより、従来は不可能であったほどのスケールで社外の知識や資源、人材を活用できる(略)アプローチさえ間違わなければ利用できる豊富な人材が社外にいる。このようなモデルを採用した企業は、業界に大きな変革を引き起こし、競争のルールさえも書き換えしまう可能性をもつ"(p.429)
- ウィキノミクスの設計原則-リードユーザーからヒントを得ること、クリティカルマスを達成すること、コラボレーションのインフラストラクチャーを提供すること、十分な時間をかけて適切な構造と統制を実現すること、参加者全員が価値を得られるようにすること、コミュニティの規範に従うこと、プロセスが進化するに任せること、コラボレーションの精神を研ぎすますこと(p456)

本書で挙げられている事例のうちKalafが特に興味をひかれたもの。
  TakingITGlobal
  yet2.com
  INNOCENTIVE

Winter Holidays in Washington DC

ゆく年くる年シリーズ其の五、"冬休み"編。

明日からワシントン(この前のフライトが今年最後だと思ったのだが・・・)。今でも半袖でいられるマイアミから、どうしてどうして零下のワシントン?とも思うが、とにかくそう決めた。

ワシントンでは:
  本(アメリカ外交)を読んで、
  映画を観て、
  少し勉強して、
  シンフォニーを聴きに行って、
  美術館に行って、
  おいしいものを食べて、
  ショッピングをして、
  運動して、
  NFLの最終戦を観て(Miami Dolphinsのプレー・オフがかかっている)、
  2009年の世界を考えて、
  将来の自分を考えて、
  Gamalとよく話して、
  日本の家族を想って・・・。

好きに自由に過ごすのがKalafは好きなのです。

Monday 22 December 2008

Round trip with Endeavour

Space Shuttleのサイクルはこうなっているようだ。先日絶叫したEndeavour、少しだけ身近に感じる。それにしてもamazingだ。

Sunday 21 December 2008

One more day...!

ゆく年くる年シリーズ其の四、"冬休みの準備"編。

明日(月曜日)は仕事納め、気持ちは既に冬休みだ。今日は(大)掃除もした。

休みに入る前に必ずすることで、好きなことがある。休み中に読む本を選ぶこと。今回は「アメリカ外交」に決めた。

週末や休暇を、何もせず本を読んだり映画を観て過ごすのが好きだ。

今日12/21は冬至。これから一日ずつ日が長くなると思うと、何だか背中を押されているような気がして嬉しい。

Saturday 20 December 2008

ウェルテルとモルダウ

ゲーテ、『若きウェルテルの悩み』

読み終えたらスメタナの"モルダウ"が聴きたくなった。今聴きながらこれを書いている。

モルダウは激情的な曲だ。ロマンティックでもある。ゲーテの"若きウェルテルの悩み"もまさにそうだ。

この話は三部からなる。第一部はロッテへの愛情が、第二部はロッテから離れて暮らす苦悩がウェルテルの書簡によって描かれる。第三部はウェルテルの書簡も織り交ぜながら、"編者より読者へ(第三部のタイトル)"物語のクライマックスが解説風に書かれる。

小説と想像力と記憶。挿入絵のロッテとウェルテルが、例えばKalafがこれまで見た絵画や映画の風景やシーン、ヨーロッパの街並みの中で再現される。本当にそういう数時間を過ごした。豊かな小説。

物語の最後はどうなのだろうか。モルダウのように長調に転調して晴れ晴れしく終わるのだろうか。そうではないとも言えるし、そうとも言える。

Friday 19 December 2008

今年の出来事

ゆく年くる年シリーズ其の三、"今年の出来事"編。

- マイアミ赴任
- Gamal、ワシントンDC赴任
- ブログ
- 旅三昧

何と言っても、マイアミに赴任したこと。仕事は「歯痒かった」が正直な感想。まず新しい仕事環境の関係図を把握し理解すること、次にその関係図に入ることに思ったより苦労した。精神力を含め力不足を痛感。来年はwide openに飛び込もう。

マイアミでは一人とは言え、Gamalがワシントンにいたことがどれだけ支えになったことか。ありがとう。

ブログを始めて良かったと思う。アルバムのようなものだ。加えて、書くだけではなく人のブログも読むようになった。これは知識や見聞を広げることを助けた。おすすめ。

旅。今年は例年以上にいろいろ訪れた。しかも全て初めての土地。旅は良い。大好きだ。来年の行き先はまだほとんど決めていない。アメリカ国内は国立公園、国外はキューバとペルーを狙っている。

Thursday 18 December 2008

2008年 世界の出来事

ゆく年くる年シリーズ其の二、"世界の出来事"編。

2009年以降を見る上で、Kalafが重要だと思った2008年の五大出来事。これらを考えてみると、よく言われる「アメリカの衰退」が共通項として浮かび上がる。Kalafは「アメリカが手に負えなくなりつつある世界」ととらえている。

- 金融危機/世界不況
- 中国のオリンピック開催
- アメリカのオバマ大統領選出
- インドのテロ
- ロシアのグルジア侵攻

まず、1929年以来と言われる世界不況。金融危機に端を発したこの不況が歴史的に意味を持つようなことがあれば、それはアメリカがその覇権の衰退を食い止められなかった時にこそだろう。1929年の恐慌を第二次世界大戦との関係において考えることと同じ。

次に、中国の夏季五輪開催。実は金融危機が顕在化する前は、この出来事を今年最重要と考えていた。大統領選挙を含めてもそう思っていた。アジアでのオリンピック開催は約20年ごと。この間隔と、日韓中がeconomically developed countriesとして勃興してきた事実は相関している。中国が日韓と明らかに異なるのは、その広大な国土と人口、思想と意志に裏打ちされた政治・経済・軍事のスケールだ。これから何十年後かの中国が2008年を引き合いに語られることは少なくないだろう。

三つ目はオバマの大統領選出。これは彼の人種や選挙キャンペーンという観点ではなく、オバマ政権がアメリカの覇権をどれだけ維持できるか、あるいは衰退をどれだけ遅らせられるかという文脈。

四つ目は11月末に起きたインドでのテロ。9/11以来、ある意味日常的となったテロ。今回のテロは、パキスタンとアフガニスタンのラインが不透明さを増していること、そしてアメリカの政権交代時によくあるチャレンジととらえられる。

最後に、ロシア。グルジアとの一件では、冷戦以来(あるいはヨーロッパ近代史以来)のロシアのテリトリーへの意志が再確認された。NATO(とEU)への加盟(申請)国が中央・東ヨーロッパ圏にも及び、欧米とロシアがバランスを失う点に達するまであと二~四つの国か。今は資源価格が落ち着いているが、これが上昇を始めればロシアの姿勢がまた露骨になることもあるのではないか。

これらの出来事は、「アメリカの覇権/衰退」から派生して考えたわけではなく、出来事を追うと「アメリカの覇権/衰退」という文脈で整理できるのではないかというもの。Kalafは2009年もアメリカにいる。

Holiday Season

今週の後半から休みに入る人も出てき、オフィスに冬休みの雰囲気が充満し始めた。二週間程度の休みを取る人が多い。これは素晴らしい。

Kalafも例に漏れず来週から二週間の冬休み!休みは取ろうとして、そして実際に取らないと、結局取れない。

Wednesday 17 December 2008

Patagonia 6 - El Calafate, Argentina 3/3

パタゴニアのマイナー・ハイライトは子羊。羊が苦手なGamalは呆れて見ていたが、Kalafはこの子羊のアサド(丸焼き)を飽きずによく食べた。

手前と一番奥の塊が牛、真ん中が子羊。これで二人分。

バルセロナから来ていたアイナとポール。El Calafateのホテルで隣の部屋に泊まっていた姉弟。縁があったのか、二泊のうち、夕食に選んだレストランが二回とも一緒で、しかも二回ともテーブルが隣だった。ただ、仲良くなるにはもう少し時間が欲しかったな・・・。

Tuesday 16 December 2008

Patagonia 5 - El Calafate, Argentina 2/3

続いてGlaciar Spegazzini。ここは、湖面から山間まで氷河がせり上がっている。高さは120mを越えるという。Glaciar Upsalaで驚嘆し過ぎたせいか、すんなりと通り過ぎる。


さて、最後にGlaciar Moreno。とにかく"Wow!"。どの位広大かと言うと、実際の数字を実感できないほど広大。湖面からの高さは60m。信じられない。なぜなら断崖(?)から3kmも離れているから。そして、周りに比較する対象がないためこの距離すらも認識できない。


氷河の崩落の時、その距離に初めて気が付く。崩れた塊が水に落ちる音が随分と遅れて届くからだ。Kalafが目撃した崩落は小さなものだったにも関わらず、それは大きな大きな衝撃音。遠くで発生したため、その音は鋭いものではなく、にぶくやや間延びした、ただし重いものだった。人々は静けさの中にその崩落音を求めて、ただ氷河を見つめる・・・。(※)

ボートを降り陸から見ると、ようやくその広大さを実感することができる。

高さは60m、深さは170m!
湖に接している両端は約5km!
奥行きは何と約30km!

ここでも同じだ。

「なぜ?」
「氷河があるから。」

これが、Kalafにとってこれ以上ない答え。

※)何年かに一度あるかないかの物凄い崩落の映像がこれ。

Monday 15 December 2008

Patagonia 4 - El Calafate, Argentina 1/3

パイネ国立公園の翌日、更に北に進む。バスで国境を越えアルゼンチンに入る。El Calafate。ここには氷河のための国立公園がある。

ここが、氷河の町だ。

El Calafateに着いた翌日、まずはGlaciar Upsalaに向かう。フェリーはほぼ満席。スペインやフランスからのやや年配の観光客が多い。修学旅行らしいアメリカ人高校生もいる。ペンギン村で一緒だった日本人の二人組みにも再会。

如何せん"氷河"が目的の乗客、船内でじっとしているのも落ち着かないらしく、デッキで船の針路に視線を向ける。寒い、当然寒い。おそらく零度以下の外気は船が進む風で一層冷たく感じられる。終いには冷た過ぎて頭がキンキンしてくる。かき氷を一気に食べた時の、あの感覚だ。

一時間は経っただろう。すると突如人の群れが動き始める。デッキに人が溢れる。ところどころに氷河が見え始めたのだ。














更に冷たくなる空気に耐える。船が進む先は行き止まり・・・!親氷河だ!














ただただ見惚れる。大きくて、不思議で・・・。





信じられない青さと透明・・・。




どの位の時を経てきたのだろうと思う。一つの結晶が大きな氷河になり、その床から離れ、そして融ける。世間では地球温暖化だとヒトは騒ぎ立てるけれども、そんなことは一向にお構いなしに、彼らはあるがままの姿でそこにいる。不思議だ、サイエンスに感情的な不思議はないのだけれども。

Saturday 13 December 2008

コペル君と叔父さん

吉野源三郎、『君たちはどう生きるか』

これは実に素晴らしい本だ。"大人"の誰もが"子供"の頃に感じたことや通ったことが、そしてそれらから学んだことやあるいは学びそびれたことが、"コペル君"と"叔父さん"の会話を通じて書かれる。

かつてのKalaf、親、弟、いとこ、伯父伯母、友人、先生、家、近所、学校、景色、言葉・・・。幾つも幾人も沢山思い出された。

小学生の中学年くらいの時に読んでみたかったと思った。特に子供がいる友人に薦めたい一冊。

睫毛と目薬

目薬を点すと睫毛が濃くなる、あるいは長くなるような気がしてならない。身近で同じ話を聞いたこともある。

Kalafは普段は裸眼、運転や会議の時のみ眼鏡をかける。コンタクトを使うのはほとんど旅行の時だけで、その時に目薬をよく点す。そして旅行が終わる頃にふと気がつくのだ。「どうも前より睫毛が目立つな」と・・・。

信憑性のほどは分からないが、意識をして睫毛を見ているわけではないのにこのことには幾度となく気がついているので、Kalafに限って言えばおそらくそうなのではないかと思う。(ちなみにKalafの使っている目薬は市販のものだ。)

女性陣、お試しあれ。

Wednesday 10 December 2008

90,000マイル

ゆく年くる年シリーズ其の一、"飛行マイル"編。

(おそらく)2008年最後の飛行機は、この週末に行ったWashington DCとNorth Carolina。カレンダーを見ると今年は30回程度の外遊があった。うち半分弱が個人旅行。約90,000マイル、今年もよく飛んだ。

1,000マイル(1,600km)の飛行時間は約2時間なので、上空に180時間いた計算になる。7日半か・・・。日数にしてみると意外とそうでもないなという気がする。一方で、1年は52週だから、その2%をあの空間で過ごしたのかと思うとやはり結構な"期間"だという気もする。いずれにせよ、30回の外遊は60回以上の搭乗を意味するので、毎週のように飛行機に乗っていたことはそれなりのことであったとの結論だ。("それなり"の解釈は読者に委ねたい・・・。)

今の会社を選んだ最大の理由の一つが、"場所を問わずに仕事をする"であった。この意味でこの狙いは満たされていると言えるのだろう。2004年以来、毎年このくらいは飛んでいるのだから。

2009年は今の時点で3つだ。今年は南北移動がほとんどだったので、来年は東西移動が増えると良いと思っている。

Thursday 4 December 2008

Patagonia 3 - モアイ像, Chile

Puerto Natalesで見つけた木工細工。モアイの並ぶイースター島のものらしい。窓越しに目があって一目惚れ。空港のセキュリティ・コントロールで怪しまれながらも、今はKalafの寝室の守り神だ。

このブティックには他にもチリ各地の素敵な工芸品がいろいろあった。そう言えば、Gamalはお花畑のような色のもこもこ毛糸帽を手にしていたな・・・。

Patagonia 2 - Puerto Natales, Chile

Punta Arenasからバスで3時間ほど北に行く。Puerto Natales

ここは気に入った。山好きの父が建てた八ヶ岳のふもとの山荘が思い出されたからだ。澄んだ空気と草木の匂い、静けさ、そして遠くに見える山。山の空気が好きだ。それは包まれたいシャワーのよう。

街の外れの丘にはタンポポ、彼方にはパイネ国立公園の稜線。

アサドと言われる子羊の丸焼き。柔らかくうまい。ほぼ毎日食べた。ただ、街を出ると一帯に羊が放されており、親に寄り添う子羊を見ると、やや心が痛んだのも事実。

着いた翌日にいよいよパイネ国立公園に向かう。Puerto Natalesの市街からバスで数時間。

途中、ラクダと鹿を足したような動物に何度も遭遇。名前は覚えていない。














表しようのない景色。

白い綿毛に、白い山頂。

驚くのは、これがただの川ではなく、融けた雪と融けた氷河からなること。

流れ落ちる水の先には、親から離れた子供の氷河。息を飲む青さ。

「なぜ?」と聞かれて「そこに山があるから」と答えた登山家の話、きっとこういう感覚なんだろうかと吸い込まれそうに山を見ながら思った。地球の反対側で、ただ山に登った父を想った。日本でどこに行きたいかと聞かれれば、「八ヶ岳」と答えるだろう。

Patagonia 1 - Punta Arenas, Chile

先週、Patagoniaに行った。南米大陸の南端一帯をこう呼ぶ。日本からはとても遠い。マイアミからも十分に遠い。

まずはChile側の南端、Punta Arenas。以前に仕事で訪れたフエゴ島(アルゼンチン)はマゼラン海峡の向こう側。ここPunta Arenasはそのマゼラン海峡とペンギン、そして不可思議な街路樹の街。

半分は陸上生活のペンギン。姿勢が妙に良い。

波打ち際にはペンギン、ペンギン、ペンギン・・・。日向ぼっこと寒中水泳中。

屋根の上からマゼラン海峡を望むペンギン。












コンセプトは理路整然、ただしカットは超不自然。一年中吹きつけるマゼラン海峡からの強風のため、どの木も幹が傾いている。街にも斜めなパンク風少年少女が少なくない。