Saturday 14 February 2009

帰国

明日、日本に帰る。渡米が2月だったので丁度一年だ。正確に言うと、一年マイナス9日。

留学先のロンドンから半年振りに帰宅した際の話。玄関で靴を脱ぎ、床についた足が木のひんやりとした冷たさを感じた時、この「靴を脱いで家にあがる」という行為が無意識に行われていたことに気がつき、「日本人だな」と思ったことがある。

これらのフラッシュバックは、明日、飛行機に乗りクルーと日本語で挨拶をするところから始まる。良いことも悪いことも、好きなことも嫌なことも、「変わったな」や「いつものとおり」も、その全てがフラッシュバック。海外から戻った時に得られる不思議な感覚だ。

Wednesday 11 February 2009

Singularity University

昨日(2/10)のFinancial Timesに"Humanity 2.0: downsides of the upgrade"という記事があり、この中で"Singularity University"という新しいinstitutionが紹介されている。Kalafは結構な衝撃を受けた。

このSingularity University、理念は「"advancing technologies"の発展をもって"humanity’s grand challenges"に対処するリーダーを輩出する」と謳い、ビジョンは「特定の技術分野のエキスパートが分野の垣根を越えて人類と環境に貢献せよ」と問う(Kalafの意訳)。

創設者は、"If you stay biological and don't reprogramme your genes, you won't be around for very long to influence the debate."と挑戦的に言う(FTから抜粋)。記事が"downsides of the upgrade"と名づけられている理由がここにある。その一方で、あくまでも最終的なゴールの一つとして"humanity"を掲げる。手塚治虫の世界のようだ(手塚治虫は圧巻だ)。

面白いと思った点:

・NASAとGoogleがバックアップしている。ともに技術と科学の最先端をいく組織だ。
・Singularity Universityのステートメントの中に、"サイエンス"という言葉は一切出てこない。"テクノロジー"なのだ。これは何よりも"(デジタルの世界を含む)実体"を重んじるという意志表明なのだと感じる。
・"テクノロジー"が人類と世界を変えるという徹底した姿勢。
・アメリカの頭脳獲得と頭脳創出への飽くなき欲求。
・個人の発意を基に始まったこと。"個人の強さ"が結局はアメリカの強さであることを再認識する。

昨日英語を扱うツールについて書いたが、このFTの記事は、実際に英語の世界に生身をもって入り込まないと得られる度合いや生み出せる次元がそもそも違うと思わせた。)

Tuesday 10 February 2009

英語を読む、聞く、話す

インターネット、新聞、雑誌、テレビ。Kalafの日常では、時事ニュースのほとんどが英語だ。もちろん意識的にそうしている部分が大きい。

さて、国際言語である英語に慣れている人が、情報や知識へのアクセスにおける優位性を有していることは間違いない。特にインターネットがメディアの主流となった今日、英語で読み、英語を聞くことで得られる情報の量と質には、翻訳された言語で得られるそれと比べ格段の優位がある。このことはKalafも実感している。

他方、技術の発展がこの優位性をそぐ日がいつかやってくるのかなとも思う。具体的には「同時翻訳」の技術だ。

例えば、今インターネット上で読んでいるページを範囲指定し「翻訳」をクリックすると和訳が得られる。音声データに関しても同様だ。更に、自分が話したことが、その場で同時に英訳されるソフトウェア/ハードウェアが実用化されることも考えられる。これらの研究開発は当然進められていることだろう。

こう考えると、自ら英語(あるいはより広く外国語)を扱うというインセンティブではなく、個人の情報収集能力や国力を高めるという意味では、「初・中等教育の英語をどうするか」という議論より、同時翻訳の技術開発を「国策」とした方が、よっぽど実益があるのではないか。

ある程度の優位性の自覚と英語メディアに身を置く苦悶の中で、ふとこんなことを考えた。