Friday 3 April 2009

High tech, low tech

2/21号のEconomistに"High tech, low tech"という興味深いグラフがあった。(記事そのものは中国の産業について書かれている。)

出典データが(おそらく)有料のため詳細を調べていないのだが、いろいろ面白いことに気が付く。

まず驚いたのは、日本の"high-tech"分野のtrade balanceがマイナスであることだ。(定義に"technological intensity"とあるので、容積あたりの付加価値か何かで"tech"度合いを算出しているものと推察する。)

つまり日本は"high-tech"国ではないのだ。このグラフを見る限り、一般的に日本が強いとされるエレクトロニクスや自動車、工作機器や部品は"mid-tech"に分類されているはずだ。考えてみれば、これらはあくまでも" 汎用品"である。したがって付加価値が"high"ではないのだろう。

一方で、アメリカとイギリスは"high-tech"分野の輸出国なのだ。アメリカはまだしも「イギリスがどうして?」と、これにも最初は驚いたが、特に軍事・航空宇宙と医療分野の貢献が大きいのではないかという推察に至った。確かにこれらの分野では米英の大企業がよくメディアに登場する。アメリカがサーバー等のシステム機器や半導体、manufacturingに含まれるソフトウェアに強いことは言うまでもない(イギリスはこれらの分野はどうなのだろうか?)。また、米英ともに基礎研究を重んじるため、バイオや最先端素材等の貢献も含まれているのではないかと想像する。

お隣の韓国も"high-tech"分野が強い。日本と産業構造が近いと思っていたので不思議に思ったが、半導体やメモリが強いSamsungを考えれば確かにそうだ。

中国は予想の通り。今後"high-tech"と"mid-tech"がプラス方向に動き始めるタイミングがいつになるのか。アメリカを凌駕する時なのだと思う。

ドイツ。日本とほとんど同じ構造である。汎用品メーカーが輸出を牽引する特徴が似ているのだろう。

このグラフを見るだけで、産業の力点がどこに置かれているのかが大よそ把握できる。産業を経済発展という視点だけではなく、どれだけ国家安全保障という観点で見るのか。そんなことを思った。

追伸1)読者の方、コメントをくださると嬉しいです。

追伸2)このグラフの読み方で分からないところがあったので、どなたか教えてください。
   1/ どうしてプラスとマイナスがバランスしているのか?
   2/ %の母数は何か?

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