Wednesday 21 May 2008

Hillary Clinton

水色のスーツを着て、彼女はそこにいた。Hillary Rodham Clinton。

聴衆は1,500人程度、HillaryがUniversity of Miamiで集会を開いた。約30分、そのスピーチは主に三つのフォーカスで構成されていた。

1/ フロリダ州が民主党全国委員会が定めた日程より先に予備選を開いたために無効となった予備選結果(Hillaryの勝利)を有効とするよう訴えること。
2/ 政策、主に医療と教育、雇用を中心とした社会保障のアウトライン。イラクからの米軍の撤退についても少々。
3/ John McCainおよびBush政権へのカウンター。ただし、"Democrats(民主党員)"として。

#2はHillaryの真骨頂である社会保障政策を「選択の機会をより広く提供する」という観点から述べたもの。突っ込んで話をしたわけでもなく、特に真新しさはない。

興味深かったのは#3だ。"vs McCain / Bush"を必ずしも"Hillary軸"からではなく、"民主党軸"からカウンターしたことだ。また、今日のスピーチの中で"Obama"の名前は一言も発せられなかった。このことが何を意味するのか。Hillaryが彼女の描くexit strategy上にいることは確かだ。

さて、大統領候補としてのHillaryについて率直に感じたことを述べる。なかなか"率直"には書きにくいのだが、実はそれほど大きなインスピレーションや興奮を得られたわけではなかった。誤解を恐れずに言うと、「Hillaryも一人の人間なのだ」というやや消極的な印象を最後まで拭い切れなかった。

確かにこのタイミングでHillaryにmomentumを求めるのは無理がある。また、もちろん"強い"Hillaryという印象は受けた。ただ、それでもYouTubeで見るObamaの名演説に比べると、"役者"の違いは明らかであった。

そしてこのことは、カリスマやスター性によって、それはObamaが多分に有しているものであるが、Hillaryがここまで上り詰めてきたわけではなく、彼女の政策や政治姿勢が広く支持されてきたことを物語っているようにも思えた。間近で見るHillaryの笑う顔は、それがどこかObamaの持つ生来の余裕とは異なる、"築き上げられた"自信と強さに満ちたものであった。

アメリカ合衆国の次期大統領候補を実際に見、スピーチを聴き、この"一人の人間"があらゆる意味で世界を動かす"パワー"を持ち得るかと思うと、政治のピラミッドがどれだけのものなのか想像も及ばないKalafがそこにいた。

Hillaryの手は温かかった。熱を持つわけでもなく、冷め切っているわけでもなく。

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