Tuesday 15 April 2008

中南米でのインテリジェンス活動

マイアミからテキサスを経由し、メキシコに入った。その機内で読んだ、手嶋龍一と佐藤優の対談、『インテリジェンス 武器なき戦争』がKalafの中南米での仕事を発想する上でヒントをくれた。

この本は、"インテリジェンスとは何か"、"日本のインテリジェンスについて"の二つが大きなテーマだ。知的に好奇心をそそり、ただ感覚的には"裏"の世界だけに凄味を覚える本である。鈴木宗男事件の"国策捜査"性について書かれた佐藤優の『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』とあわせて読むと一層おもしろい。なお、Kalafは筆者のインテリジェンスの定義を「情報の背後をいかに理解し(点を線にする)、それを国益に結びつけるか(線を面にする)」ととらえた。

さて、ヒントはと言えば、Kalafの仕事もインテリジェンス活動の側面を帯びていると認識したことだ。今回の出張も鉱脈を掘り当てるための地質調査の側面が強く、良質の鉱脈のためには各拠点(この一週間で三箇所を回る)に"案内人"が必要だ。彼らとは、筆者の言う"インテリジェンス・オフィサー"関係を今後築く必要がある。

また、Kalafのマイアミでのポジションをconsiderすると、別のインテリジェンス活動が見えてくる。すなわち、①グローバルのオペレーション・スキームを担う本社サプライ・チェーン、②その傘の中でアメリカ(北、中、南)のオペレーションを管轄するアメリカ・サプライ・チェーン、③中南米のセールス拠点のマイアミ。この地図に、Kalafの出身は①、所属は②、現在のベースは③という背景および中南米のパートナー(部品、工場、物流)を加える。そして、Kalafはオペレーションの改善や構築には関与するもののexecutionそのものはしないという任務特性。案内人との関係が線だとすると、これは面の"インテリジェンス"ととらえられる。

Kalafの仕事をインテリジェンスとして位置付けることを可能にした本であった(英文和訳のような文体だ)。

興味深い引用:
"秘密情報の98%は公開情報を再整理することによって得られるという"(p4、佐藤)
"インテリジェンス能力は当該国家の国力から大きく乖離しない"(p5、佐藤)
"インテリジェンスや情報力は、自分の弱いところをできるだけ隠して、強いところを実力以上に強く見せる技法"(p85、佐藤)
"自分しか知らないような真実を掴むというのは、本当に面白い"(p225、佐藤)

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