Thursday 21 August 2008

永井荷風@外遊












文豪が、当時西欧とどう接し、それをどう表現するのかという興味で読んだ2冊(あめりか物語ふらんす物語)は、永井荷風が20代後半をアメリカ(4年)とフランス(1年)で過ごした時の観察小説(短編集)。日本への帰国は今から丁度100年前の1908年。

冗長で、正直、無理して読み切った。いつだか夏目漱石を集中して読んだ歳にも似た感想を抱き、友に"純文学だから"とあっさり言われたことがある。彼はその時、"河童が息継ぎをしないで泳ぐ"と表現した。これは言い得て妙。

さて、荷風は放蕩者の風来坊だったらしく、退廃というか耽溺というか、今日にしてみれば浮世の風だ。荷風の外遊から20年程遡るが、"ふらんす物語"はまさにロートレックの世界。Kalafの記憶にあるパリの街角が自然に想像され、ロートレックの狂騒と交じり合う。

"あめりか物語"に見られる当時の文明の差は、今日で言えば国力の差として知覚できるような気がする。100年経っても、差はあるということか・・・。

嗚呼、京都の友は何と言うだろう。

※)写真はワシントンDCのNational Galleryにて撮ったもの。Kalafはロートレック好き。

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